自殺未遂者は、繰り返しやすい

 =2回目4割、2回以上2割
 =支援すれば救済できる

 自殺を図って一命を取り留めた人のうち、4割以上が過去にも自殺しようとした経験がある。横浜市立大学精神医学教室自殺予防研究チーム(横浜市)の調査で分かった。つまり、自殺行動は繰り返される。自殺未遂者が再び自殺をする危険性が統計的に裏付けられた。
 同大では03年度から同大付属市民総合医療センター(田中克明院長)の高度救命救急センターに搬送され入院した全自殺未遂者への調査と支援を始めた。
 03年度から今年7月までに入院した自殺未遂者は計554人(男性222人、女性332人)。その全員に聞き取り調査をした結果はこうだった。  全体の8割以上が精神疾患にかかっており、うち3割近くがうつ病やそううつ病などの気分障害に罹患(りかん)していることも分かった。
 一方、退院後の生活を支援することで、その後の自殺リスクを減らせることも分かってきた。自殺未遂の背景に精神疾患があれば専門医を紹介したり、生活苦があれば病院のソーシャルワーカーが生活保護の行政窓口に同行したりしている。その結果、05年度中に入院した人を対象にした約1年後の予後調査では、再び自殺を図った人は4.3%(5人)、自殺した人は1.7%(2人)と、比較的少なく抑えられた。( 2007年09月25日、朝日新聞、asahi.com )
 このように、自殺したくなる思いは簡単には消えずに、繰り返されやすい。うつ病による場合、抑うつ気分がつらかったり、前頭前野の機能がそこなわれて(仕事に必要な頭の回転がしないとか、コミュニケーションできないなど)社会に復帰しにくいからである。相談して説得されて一時的に、死ぬことを思いとどまっても、精神疾患(うつ病など)が治らない限りは、死にたくなる思いは出てくる。だから、自殺防止対策としては、相談を受けて、「死なないで」という説得で終わりにしないで、うつ病ではないかと推測して、治療につなげないといけない。
 このセンターでは、精神科の治療につなげるので、再度、実行する割合が減少している。政府の対策に、自殺未遂者に同様の支援をしていくことがあげられている。これは、自殺防止対策の有力な一つである。